日本の水門業界
水門の種類
- 1.桁構造ローラーゲート
- 最も一般的な形式で端部にローラがついているためスライドゲートに比べ開閉荷重が小さい。
- 2.シェル構造ローラゲート
- 径間に比べ扉高が低い水門は自重の影響が大きい。桁構造は水平方向には強いが鉛直方向には弱い。自重の影響が大きい水門は両方向に強い箱型(シェル)断面が用いられる。
- 3.スライドゲート
- 開閉時は扉体に設けた摺動板が戸当りの上を摺動するため抵抗が大きい。従ってローラゲートが自重で閉まるのに対し強制的に押し下げる必要がある。小規模の水門に採用される形式である。
- 4.起伏ゲート
- 扉体下部に設けたヒンジを中心に起伏させるものでローラゲートのように高い堰柱がないため景観上よい形式である。
- 5.バイザゲート
- 扉体がアーチ形状となっており軸力のみ働くので経済的な断面となり大型水門にも対応可能である。景観的にもいい形状である。
- 6.マイタゲート
- ドア式のような形式で片側をヒンジとして扉体を水平方向に回転させる。2枚の扉体で形成される。
- 7.セクタゲート
- ラジアルゲートを平面的に使ったものでマイタゲートに対し格納スペースはは大きいが開閉荷重は小さい。
- 8.横引きゲート
- 扉体底部に車輪を設け、レール上を走行することにより開閉するゲートで防潮用陸閘(平時は道路として使用し高潮時閉鎖)として採用されることが多い。
- 9.高圧ローラゲート
- ダム洪水吐設備主ゲート(アーチダムに多い)及び副ゲートとして使用されることが多い。
- 10.高圧ラジアルゲート
- ダム洪水吐主ゲートとし使用されることが多い。
- 11.ラジアルゲート
- ダム堤頂に非常用洪水吐として使用される。ゲートの弱点である戸溝がないのが長所。最近は景観を考えた河川用水門として使用されることもある。
- 12.ダムフラップゲート
- 起伏ゲートを非常用洪水吐として使用し引き上げ式に比べ開方向が自重方向なので電源が故障しても油を抜けば倒伏する利点がある。
- 13.円形多段式ゲート
- 望遠鏡のように伸縮する円形ゲートの先端に呑み口を設ける。呑口を貯水池の任意の位置にもってくることにより表面取水・中間取水ができる。
- 14.直線多段式ゲート
- 円形多段式ゲートの円形の代わりに直線としたもの。
- 15.直線多重式ゲート
- 片側一条の戸溝に数個の扉を積み重ね、扉間に開口部を形成し開口部より取水する。直線多段式ゲートと同様の機能を有し、経済的な取水設備ができる。
- 16.ジェットフローゲート
- ゲート上流を漸拡し45度のオリフィスによりジェット流を作り、水流がゲートの弱点である戸溝を飛び越えるように設計されたゲート。小容量放流設備の主ゲートとして使われる。
- 17.高圧スライドゲート
- 小容量放流設備の主ゲートとして使用。高水深・高流速として使えるよう側部戸溝を小さく底部戸溝をなくした角型ゲート
- 18.ホロージェットバルブ
- 小容量放流設備主ゲートに使用。流水はバルブ本体とニードルで形作られる中空ジェットとして放流される。
- 19.フィックスドコーンバルブ
- ホロージェットバルブは内部のニードルが動くが本バルブは本体の外周を摺動する円筒形のゲートが動く。黒四ダムに代表されるバルブ。
- 20.コーンスリーブバルブ
- フィクスドコーンバルブを鉛直にしたタイプ。角型の水槽に設置し水中放流タイプとし減勢込みのゲート。
- 21.スルースバルブ
- 小容量放流設備主ゲートの直上流に設置され主ゲートの修理用として使用される副ゲートの代表タイプ。
- 22.ゴム引布製起伏堰
- 鋼製ゲートに比べ安価、土木構造が簡単という長所があるが、流量調節ができない、経年的に美観が悪くなる欠点がある。